高齢犬に対する幹細胞治療例
2023年08月25日
トイプードル、未去勢雄、
幹細胞投与時17歳2ヶ月齢、2.1kg。
既往歴:甲状腺機能低下症、アトピー性皮膚炎
胆嚢粘液嚢腫(胆嚢手術歴無し)、前立腺炎。
嘔吐と食欲廃絶を主訴に来院。
皮下補液や注射などの対症療法に
反応しないため、入院加療。
血液検査では顕著な異常なし。
2日間の入院により食欲の回復が見られ退院。
退院翌日は食べたが、
翌々日からまた食べないので再入院。
2日間の入院により食欲の回復が見られ
幹細胞の投与(1回目)をして退院。
その後食欲は維持でき、
飼い主様も幹細胞治療の効果を実感できるとのこと。
初回投与の1週間後に幹細胞を追加投与(2回目)。
その後は1週間に1回皮下補液をしながら、
食欲、体重を維持している。
現在2回目の幹細胞投与から約7ヶ月経過。
食欲がなくなるようであれば
幹細胞を追加投与する予定。
特別な病気に対しての投与ではありませんが、
既存の治療では状態の維持が
難しいかったと思われるので、
こういう症例も幹細胞治療の
対象になりうると考えます。
動物の長寿命化が進み、嬉しい反面、
介護が必要な場面が増えています。
この症例の場合は幸い体重も軽く
自力で歩けていますが、
自力で立てなくなってしまうと
弱ってしまうのも早いものです。
幹細胞は脊髄疾患や関節疾患にも
効果が期待できるので、
高齢動物のQOL改善のための投与機会は
今後増えてくるでしょう。
ただし高齢の動物の場合、
体のどこかに腫瘍がある可能性も高く、
腫瘍がある症例に対しては
基本的に幹細胞の投与はできません。
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